今回は自衛隊の薬きょうのお話を書いていきたいと思います。
いきなり薬きょうの話ってなんやと思われた方もいると思いますが、話は物品愛護という観点に繋がっていくようになります。
薬きょうというのは銃を撃った時に出る弾の先の部分ではなくて火薬の詰まった胴体部分になります。
自衛隊の薬きょうの話
自衛隊に入隊したして衝撃的だったことが、銃を撃った撃ち殻(薬きょう)を自衛隊はほぼ全回収していることに驚きました!
映画やドラマでこのようなものを回収している所を見たことがなかったし、海外映画なんてましてや撃ちまくりの薬きょう捨てまくりみたいなイメージでした。
射撃を行った後に駐屯以内で何パーセント回収、演習場でも何パーセント回収と数字で決まっています。
これについては色々な理由がありますが、まずもって日本は銃社会では無いので実弾を持っていては銃刀法違反になりますし、何発渡して何発撃って何発残っているかを管理するためでもあります。
こういった銃弾1つに対しても細かい規則や管理体制の中射撃というのは行われるわけで、事故や紛失が減らされているわけです。
とても良いことだと思いますがイメージとはかけ離れていました。
ではなぜ物品愛護につながるのか?
実は1発なくすと大変です。大捜索の始まりです。
新隊員の時には大体1発くらいは落として無くす人もいるのですが、その隊員をさらし者にして全員で地面にはいつくばって捜索してモノの大切さ、管理するということの大切さを叩き込まれます。
さらし者といううと少し語弊があるかと思いますが、明日は我が身ということも教え込まれ誰も無くした本人を責めることはありません。
実際に私も2,3度無くしかけたことがありましたが自力で見つけてホッとしたことを覚えています。
後から班長達の話を聞くと薬きょうだけではなく別に他のモノでも同じで誰が何をなくしても同じことをするという話でしたし、私が班長として新隊員を教育した時も同じように身をもって教えていました。
戦場において1つのモノをなくすということは命取りになるから大切なことです。
ブラックホークダウンという映画にレンジャー部隊が戦地に投入されるときも短時間の任務だからと水をもっていかなかった隊員がいてそれが命取りになりかけていました。
精鋭部隊でもこのような慢心や危険見積もりの甘さから命の危機にさらされるのです。
しかしながらデメリットもあんです(;´Д`)
無くさないための薬きょう受けを取り付けることによる射撃技術の向上の妨げにもなりますし、時間的な制約がかかります(点検や捜索、準備)。
鼠色のチャックがついているのが薬きょう受けという袋。
安全第一は自衛隊も同じですが、やりすぎもいかがなものかと思いながら訓練をしていたこともありました。
もう1つ驚いたのはアメリカで訓練を受けた時に、薬きょう自体は回収したのですがアメリカは訓練の最後に適当な場所に固まって落ちているものだけ回収し細かく何パーセント回収なんてことはやっていないんどぇす!
まさに撃ちまくりのその後ちょっと掃除しとこかくらいの感覚でした(゜o゜)
その代わり射場規律をしっかりしていて、結構これをやってはいけませんよってことが最初の説明で言われたのをおぼえています。
では物品愛護とは何なのでしょうか?
物品愛護ってなに?
この薬きょうのお話から物品愛護は非常に密接で、ものを無くさない壊さないは自衛官の基本的なことになっています。
防衛費は限りがあって、私の感覚ですが要望したものが手元に来るのに4年はかかるという感じがありますし、武器や兵器は10年は遅れているとも感じます。
だからこそ根付いた考え方であり、今でも実践されているのだと思います。
車両、武器、弾薬はまだいいのですが、被服類は最悪です。
自衛隊で支給される被服類は中々交換してもらえません。
真ん中の人は弾いていますが、左の人は多分というか絶対中の戦闘服までが雨で染みている状態です。
以前にも書きましたが雨衣(カッパ)は特にすぐ防水が取れるのに交換してもらえないし、戦闘服は破れても縫い合わせてきている隊員も沢山います。
自衛隊員は安い給料でぼろい服や装備で我慢強く頑張っています。
だから物を大事にしろと自衛隊が今ほど認知されていない昔から言われてきたわけです。
大事にしてないわけでは無いのですがそれ以上に躾として教育される理由がこういった背景から読み取れると思います。
私たち下級戦士たちには防衛費の使い道は詳しく分かりませんが、もっと人のために使ってほしいものですし、お金の使い道の分かった人間が官僚にいてほしいと節に願います。
まとめ
以上薬きょうのお話でした。
自衛隊にとってモノ1つ無くすことで大惨事になりかねないこと、そうなっていった背景など少しは分かっていただけたでしょうか。
今後自衛隊の隊員や車両を見かけたらそういった観点や視野で見ていただけると隊員たちがけなげで愛おしく思えてくると思います。
防衛費増やせとは言いませんが減らせとも言えなくなるのではないかなと思います。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。
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